【2026年最新】SNS投稿による情報漏洩事例まとめ|西日本シティ銀行・日テレ『ZIP!』に学ぶ企業のコンプライアンスリスク
「たった1枚の写真」「何気なく投稿した動画」が、企業の信用を大きく揺るがす時代になりました。
2026年、従業員によるSNS投稿をきっかけとした情報漏洩が相次いでいます。
西日本シティ銀行では、行員がSNSに投稿した職場の画像に顧客情報が映り込み、大きな問題となりました。また、日本テレビの情報番組『ZIP!』でも、新人スタッフによる内部資料のSNS流出問題が報じられています。
これらに共通するのは、高度なサイバー攻撃ではなく、従業員による日常的なSNS利用が情報漏洩の原因になったという点です。
企業はセキュリティシステムの導入やコンプライアンス研修に取り組んでいます。しかし、それだけで従業員の行動まで管理できるのでしょうか。
本記事では、SNS投稿による情報漏洩の代表的な事例を振り返りながら、企業が見直すべき内部管理体制と、採用・取引先管理におけるリスク対策について解説します。
30秒でわかる要約
2026年、従業員のSNS投稿による情報漏洩が企業の新たなコンプライアンスリスクとして注目されています。
- 西日本シティ銀行: 行員がSNS「BeReal」に投稿した写真に顧客情報が映り込み、情報が流出しました。
- 日本テレビ『ZIP!』: 新人スタッフが内部資料などをSNSに投稿し、研修だけでは防げない情報管理の課題が浮き彫りになりました。
- 企業が取るべき対策: SNS利用ルールの徹底、実践的な研修、採用時のバックグラウンドチェック、内部不正への対応体制の整備が重要です。
情報漏洩は、悪意のない投稿からも発生します。 企業は従業員個人の問題として捉えるのではなく、組織全体のリスク管理を見直す必要があります。
1.2026年、SNS投稿による情報漏洩が増加
情報セキュリティメーカーのデジタルアーツ株式会社が2026年7月28日に公表した調査によると、2026年上半期に国内で公表されたセキュリティインシデントのうち、「業務外利用・不正持出」は55件に上りました。
このうち14件が、従業員によるSNS投稿をきっかけとした情報漏洩であり、全体の約25%を占めています。
さらに、「業務外利用・不正持出」は前年同期比で3.7倍、2025年下半期比でも1.9倍に増加しました。
特にSNS投稿に起因する14件のうち10件が4月から5月に集中しており、自治体、金融機関、小売業、飲食業など幅広い業種で問題が発生しています。
これは、SNSによる情報漏洩が一部の企業だけの問題ではないことを示しています。
従来、企業の情報漏洩対策は不正アクセスやマルウェアへの対策が中心でした。しかし、どれほど強固なシステムを導入しても、従業員が業務情報をスマートフォンで撮影して外部に投稿すれば、情報は簡単に流出してしまいます。
情報セキュリティ対策では、システムの防御だけでなく、人の行動を前提としたリスク管理が不可欠になっています。
参考:デジタルアーツ株式会社「2026年上半期の国内セキュリティインシデントを分析」
https://pages.daj.jp/webtopics/1343
2.事例① 西日本シティ銀行|SNS「BeReal」への投稿で顧客情報が流出
何が起きたのか
2026年4月、西日本シティ銀行の行員が、勤務中に撮影した職場の画像をSNSアプリ「BeReal」に投稿し、顧客情報が外部に流出する問題が発覚しました。
報道によると、投稿された画像には、顧客7名の氏名が記載されたホワイトボードのほか、業績目標やパソコン画面などが映り込んでいました。
問題となった「BeReal」は、日常の様子を写真で共有するSNSです。気軽な撮影・投稿が特徴ですが、職場で利用すれば、撮影者が意図していない情報まで公開される危険があります。
今回の事例では、顧客情報を外部へ持ち出すための特別な操作や、不正アクセスの技術は必要ありませんでした。
日常的な写真撮影という行為が、重大な情報漏洩につながったのです。
問題の本質は「撮影できてしまう環境」
この事例で企業が注目すべきなのは、投稿した行員の行動だけではありません。
顧客情報が表示された場所で私物スマートフォンを使用できたこと、撮影時に機密情報が映り込む可能性を十分に認識できていなかったことなど、組織として検証すべき点があります。
金融機関では、顧客情報の適切な管理が極めて重要です。しかし、情報管理に対する意識や現場の運用に問題があれば、厳格な規程があっても事故を防ぎきれません。
また、SNSに一度公開された画像は、投稿を削除してもスクリーンショットなどによって再拡散される可能性があります。
企業が失うのは、漏洩した情報だけではありません。
顧客からの信頼、取引先からの評価、長年築いてきた企業ブランドにも影響が及びます。
「悪意がなかった」という事情は、企業の情報管理責任をなくすものではありません。
参考記事:
「たった1枚のSNS投稿」が会社を終わらせる――西日本シティ銀行“顧客情報流出事件”が経営者に突きつけた情報管理崩壊の現実
出典:企業防衛リスクサービス株式会社(2026年5月28日公開)
3.事例② 日本テレビ『ZIP!』|研修を受けた新人スタッフが内部情報をSNSへ投稿
何が起きたのか
日本テレビの情報番組『ZIP!』でも、内部資料とみられる情報がSNS上に投稿される問題が報じられました。
2025年4月上旬に確認された投稿には、出演者の名前が記載された資料、番組スタッフのシフト表、テレビ局の入構証とみられる画像などが含まれていました。
日本テレビの福田博之社長は、この問題に関与した人物について、社会人になったばかりの新人スタッフであることを明らかにしています。
さらに注目されたのは、同社が配属初日の4月1日に、SNSへの情報漏洩禁止や入構証管理について研修を実施していたことです。
つまり、情報管理に関する教育を受けた直後にもかかわらず、問題が発生したことになります。
コンプライアンス研修だけでは防げない
多くの企業では、新入社員研修や定期的なコンプライアンス教育を実施しています。
SNSの利用規程を配布し、情報漏洩の禁止事項を説明した上で、誓約書への署名を求める企業も少なくありません。
しかし、ルールを理解していることと、実際の行動で遵守できることは別問題です。
特に業務経験の浅い従業員は、何が社外秘に該当するのか、どのような情報が第三者に悪用されるのかを十分に理解していない場合があります。
また、出演者情報やシフト表、入構証といった情報は、それぞれ単独では重要性が分かりにくくても、組み合わせることで施設の警備や関係者の安全に影響する可能性があります。
今回の問題は、研修の実施そのものをコンプライアンス対策の到達点にしてはいけないことを示しています。
従業員が実際に理解しているかを確認し、現場で不適切な行動を防止できる仕組みを整える必要があります。
なお、この事案が報じられたのは2025年であり、2026年に発生した事件ではありません。2026年の企業リスク対策を考える上で重要な関連事例として取り上げています。
参考記事:
日テレ『ZIP!』情報流出問題が企業に突き付けた現実 ― なぜコンプライアンスチェックとバックグラウンドチェックが必要なのか
出典:企業防衛リスクサービス株式会社(2026年6月17日公開)
4.2つの事例に共通する、企業が見落としやすい3つのリスク
西日本シティ銀行と日本テレビの事例は、業種も流出した情報も異なります。
しかし、企業のリスク管理という観点では、共通する課題が浮かび上がります。
① 情報漏洩に悪意は必要ない
情報漏洩というと、従業員が顧客情報を不正に売却したり、競合企業に機密情報を渡したりする行為を想像するかもしれません。
しかし、SNSへの投稿では、本人に情報を漏洩させる意図がなくても事故が発生します。
「友人に職場を見せたかった」「仕事の様子を投稿したかった」といった動機でも、結果として重要情報が外部へ流出する可能性があります。
企業は悪意ある不正行為への対策に加え、従業員の認識不足や軽率な行動によるリスクにも備えなければなりません。
② 研修や規程だけでは現場の行動を管理できない
就業規則や情報管理規程を整備していても、それが現場で守られていなければ意味がありません。
私物スマートフォンの使用、機密資料の保管方法、執務室内での撮影など、実際の業務環境に即した管理が求められます。
また、従業員が不適切な行動を見かけた際に、注意や報告をしやすい組織文化をつくることも重要です。
③ 情報漏洩の責任は企業全体に及ぶ
SNS投稿を行ったのが一人の従業員でも、社会から問われるのは企業の情報管理体制です。
顧客への説明、被害状況の調査、再発防止策の策定、関係機関への報告など、企業にはさまざまな対応が求められます。
個人情報の漏洩については、内容や状況によって個人情報保護委員会への報告や本人通知が必要になる場合もあります。
経営者は、従業員個人の問題として片付けず、内部統制上の課題として捉える必要があります。
5.SNS情報漏洩を防ぐために企業が取り組むべき対策
情報漏洩リスクを軽減するためには、複数の対策を組み合わせることが重要です。
第一に、私物スマートフォンと撮影ルールの見直しです。
顧客情報や機密資料を扱う区域では、撮影を原則禁止する、端末の持ち込みを制限するなど、業務内容に応じたルールを設けます。
第二に、実際の事例を使ったコンプライアンス教育です。
抽象的な禁止事項を説明するだけでなく、SNS投稿に映り込んだ情報から何が分かるのか、どのような損害が発生するのかを具体的に伝える必要があります。
第三に、採用時の人物確認と適切な配置判断です。
特に機密情報や顧客情報を扱う職種では、職務経歴や過去の業務上の問題などを、法令に従い、必要な範囲で確認することが重要です。
バックグラウンドチェックやリファレンスチェックは、面接だけでは確認しにくい経歴上の疑問や、過去の業務に関する懸念を把握するための補助的な手段になります。
ただし、これらの調査によって将来の情報漏洩を確実に予測できるわけではありません。本人のプライバシーに配慮し、職務との関連性や調査の必要性を慎重に判断することが前提です。
第四に、現職社員や委託先を含めた継続的なリスク管理です。
入社時に問題がなかった従業員でも、担当業務や職場環境は変化します。
また、派遣社員、業務委託先、外部スタッフが重要情報にアクセスするケースも増えています。
自社の正社員だけを管理対象とするのではなく、情報を取り扱う関係者全体について、権限管理、教育、契約上の守秘義務、問題発生時の報告体制を確認することが必要です。
6.情報漏洩が起きてからでは遅い|企業不正調査・バックグラウンドチェックの重要性
SNSによる情報漏洩は、発生後に投稿を削除しても、完全に影響を取り除けるとは限りません。
顧客情報や企業の内部資料が第三者の手に渡れば、情報の回収が困難になるだけでなく、取引先との信頼関係にも影響する可能性があります。
そのため企業には、事故発生後の対応に加え、リスクを事前に把握する取り組みが求められます。
特に、機密情報を扱う従業員の採用、重要な業務委託先の選定、内部不正の疑いが生じた際の事実確認などでは、客観的な情報に基づく判断が重要になります。
企業防衛リスクサービス株式会社では、企業のさまざまなリスクに対応するため、バックグラウンドチェック、リファレンスチェック、企業不正調査、取引先リスク調査などを提供しています。
採用時の経歴確認、業務上の問題に関する事実調査、取引先の企業背景や過去のトラブル情報の確認など、目的に応じた調査によって企業の意思決定を支援します。
また、情報漏洩や内部不正の疑いがある場合には、事実関係を客観的に整理することが、適切な対応や再発防止策の検討につながります。
もちろん、外部調査だけで情報漏洩を完全に防止できるわけではありません。
重要なのは、社内の情報管理体制と第三者による客観的なリスク確認を組み合わせることです。
まとめ|「社員を信頼すること」と「リスクを確認すること」は別問題
西日本シティ銀行と日本テレビ『ZIP!』の事例は、SNSによる情報漏洩が特別な技術や大規模な不正行為によってのみ発生するものではないことを示しています。
日常的な写真撮影やSNS投稿であっても、企業の重要情報が外部に流出する可能性があります。
そして、情報漏洩が発生した際に問われるのは、投稿した従業員だけでなく、企業の管理体制そのものです。
経営者やコンプライアンス担当者は、研修の実施状況だけで安心するのではなく、現場の情報管理、採用時の確認、委託先の管理、内部不正への対応体制まで見直す必要があります。
「社員を信頼しているから調べる必要はない」ではなく、「社員と企業を守るために、必要な確認を行う」。
こうした考え方が、今後の企業経営では一層重要になるでしょう。
企業防衛リスクサービス株式会社では、企業不正調査やバックグラウンドチェック、取引先リスク調査を通じて、企業のリスク把握と適切な意思決定を支援しています。
情報管理上の懸念や内部不正の疑い、採用・取引先選定におけるリスク確認などでお困りの際は、ぜひ当社へご相談ください。
企業防衛リスクサービス株式会社
参考記事・出典
- 企業防衛リスクサービス株式会社(2026年5月28日)
西日本シティ銀行の顧客情報流出事件 - 企業防衛リスクサービス株式会社(2026年6月17日)
日テレ『ZIP!』情報流出問題 - デジタルアーツ株式会社(2026年7月28日)
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